JOURNAL
解体新書 vol.03|AORAKI
HI-TEC(ハイテック)は、アウトドアでも日常でもちょうどいい。"使い勝手のよさ"を提案するアウトドアライフスタイルブランドです。そんなブランドのモデル1つ1つにはどんな開発背景があったのか、さらに深掘りしていきます。
第3回はハイテックの定番アウトドアシューズ"アオラギ"について、デザイナーからご紹介します。
「ハイテックの大人気モデルを、7年ぶりにリニューアル」
今回リニューアルしたのは、ハイテックの代表モデルの1つであるAORAKI(アオラギ)です。そもそもハイテックは、スカッシュ専用のシューズを起源として英国で誕生したブランドなのですが、アメリカへ進出するきっかけとなったのがSIERRA Sneaker(シエラスニーカー)という山用のスニーカーでした。登山靴ながらもスニーカーライクな履き心地で人気となったシエラ。そのシエラを礎として約7年前に誕生したのが、アオラギです。
アオラギは登山靴としてだけではなく、キャンプでも音楽フェスでも1足あればどこでも使いやすく、ちょうど良いアウトドアシューズを目指して開発されました。急に誘われたキャンプやレジャーに、専用のシューズはハードルが高いと感じる方も多いと思います。そういった方々でも「はじめてのアウトドアシューズ」として手に取りやすいよう、リーズナブルな価格帯で幅広い用途で使えるシューズになっており、今ではハイテックで一番多く選ばれているアイテムになっています。
「アウトドアシューズとしての機能性とデイリーユースとしてのデザイン性。両方をアップデートしました」
リニューアルするにあたり、アウトドアシーンに必要な機能性と、気軽に街のお出かけでも履けるようなデザイン性の両方にこだわりました。
例えば、履きごこちを重視しクッション性の高いソールユニットを採用しているのですが、サイドの見た目はスッキリとした印象に仕上げています。登山靴ならではのゴツゴツとした印象を軽減して、デイリーユースでも合わせやすいデザインとなっています。
カラーリングもアウトドアシューズらしいカラフルさは残しつつ、カジュアルに履きこなせるよう極力シンプルに変更しました。これはアオラギが最初に開発された約7年前と比較して、キャンプのようなアウトドアがより身近になったことで、アウトドアシューズが「普段の生活にも馴染みやすいもの」として人気が高まってきたからなんです。
さらに「アウトドア初心者でも手に取りやすいリーズナブルな価格帯」もアオラギの重要な要素の一つです。通常の登山靴でスウェードレザーを使用しているところを、アオラギではそれにかなり近い質感の"フェイクスウェード"を使用しています。これにより登山靴としての上質さを、リーズナブルな価格帯で提供できるようにしています。
「これからアオラギを履きはじめる方にも。これまでアオラギを履いてくれていた方にも」
開発メンバーは自分も含めみんな登山をしているので、自身の経験を踏まえ使用者ならではの視点も取り入れています。今回のリニューアルでは紐通し部分の構造をアップデートしています。登山中に靴紐が切れてもスペアシューレースに付け替えしやすいようにという登山を想定したポイントでもあったのですが、結果的にファッションとしても靴紐をその時の気分に合わせて替えやすいという、デイリーユース時の利点にも繋がりました。
細部までこだわった工夫を凝らしているので、はじめてアオラギを選ぶ方でも履きやすさを実感していただけると思います。一方で、リニューアル前と靴の元となる木型はあえて変えていません。そのため既にアオラギを愛用していただいている方々にも、違和感なく履いていただける一足になっています。